飛行機の着陸/離陸が怖い!墜落の危険性が高い「魔の11分」

魔の11分」という言葉を聞いたことがありますか?

飛行機の墜落事故が起こりやすいとされる離着陸の時間を指します。
 

そんな事を聞いたら余計に飛行機が怖くなる…と思うかもしれませんが、逆に言えば離着陸さえ乗り切ってしまえばあとの時間は限りなく安全に近いと言えます。

国際線で5時間も10時間もビクビクして過ごすより、最初と最後の11分だけビクビクして、それ以外の時間はケロッと過ごせたほうがラクですよね。
 

魔の11分を詳しく知れば飛行機が怖いという気持ちも半減。

離陸、着陸でなぜ事故が起こりやすいのか、また、魔の11分も最近は改善されてきていることなどをお話していきますね。

着陸/離陸の危険性、魔の11分とは?

魔の11分の内訳は以下の通りです。

離陸のための滑走~空中での安定した姿勢になるまでの時間 3分間
着陸のための進入~着陸して滑走路を開放するまでの時間  8分間

飛行機事故の69.8%がこの時間内に起きるため「魔の11分」と呼ばれています。

 
離着陸時は、安定した航行中に存在しない危険要素に対する注意や、複雑な操縦技術を必要とされる時間。ささいな違いが事故につながる可能性もあります。

例えば、バードストライクと呼ばれる事故。

 
かっこいい名前がついていますが、要は鳥との衝突です。

日本だけでも年間1000件以上バードストライクが発生している(ということは、ぶつかっても普通は事故にはならない)ですが、まれに大きな事故に発展します。
 

実際、「ハドソン川の奇跡」で有名なアメリカの航空事故の原因はバードストライク。エンジンに鳥が巻き込まれたことで発生した事故でした。

もちろん、日本の航空会社はもう何年も墜落していないし、先程も言ったようにバードストライクが重大事故に発展するケースはかなり少ないです。

それでも、鳥の衝突くらいで時に重大な問題に繋がるのが離陸/着陸時。だからこそ魔の11分と呼ばれる離着陸の時間は、パイロットも特に神経を集中させています。
 

着陸/離陸の事故事例

離陸時の事故

福岡空港におけるガルーダ航空機の事故。
 

V1(離陸速度)を超えて飛行機が浮上を始めていたにもかかわらず、エンジン1機の故障により離陸中止したことが原因で事故が起こりました。

飛行機には複数のエンジンがあり、1機故障しても問題なく飛行できます。なのでエンジンが1機故障した場合でも離陸して、すぐに着陸し直すのが正規の手順でした。

 
しかし機長が、山を越せないと判断して離陸中止を断行してオーバーラン。

横転、炎上してしまいました。
 

これは操縦者の判断ミスによる事故ですが、そのぶん同じ間違いが無いように指導が徹底されています。100%とは言いませんが、同じような判断ミスが起こる確率は以前よりも低くなっています。
 

着陸時の事故

1993年、花巻空港で起きた事故。

 
そもそもの原因は着陸時、ウィンドシアーと呼ばれる、風向きや風量が急に変化する風に遭遇したことでした。

人的ミスもありました。着陸の作業中から風の影響を受けていたにもかかわらず、機長は副機長に操縦を任せたまま、風に関する対処や指示を行わなかった記録が残っています。

さらに、当時吹いていた風は副操縦士が着陸のための操縦を行える横風速度制限値を大幅にオーバーしており、副操縦士が操縦していたこと自体がミスだったのです。
 

運輸省航空局は、航空会社に業務改善勧告を行った他、他の航空会社にも「安全運航の確保について」という通達を行っています。

さらに、万一同様の事故が起きた場合に備えて各空港管理者に対して「地方公共団体の管理する消防体制及び救急医療体制の整備について」通達を出しました。

それでも、飛行機は大丈夫といえる2つの理由

ここまで、離陸/着陸時の事故事例を見てきました。

これだけ見ると「やっぱ飛行機って落ちるじゃん、怖い」と思うかもしれませんが、実際にはこれらの事故が起きたからこそ今の飛行機はより安全性が増しています。
 

ヒューマンエラーも起こりづらくして、システム面も強化されている。

もちろん100%安全と保証はできないけど、航空会社や整備員の方々がどのような工夫をしているのか知れば、離着陸の際に少しでも気持ちを落ち着かせられますよ。
 

1.飛行機の墜落事故率はこんなに低い

飛行機が墜落事故を起こす確率は0.0009%。いくつゼロがつくんだ?というくらい低い確率です。ここまで低いと、全然怖いと思う必要はないと思える人もいるでしょう。

ちなみに雷に打たれて亡くなる確率は0.0012%。雷のほうがレアケースに思えるのですが、飛行機の墜落事故に遭う確率のほうが少ないんですね。
 

魔の11分の墜落の確率や、航行中に墜落する確率を考える前に、そもそも飛行機自体が墜落する確率自体がとんでもなく低いのだと、覚えておきましょう。

飛行機が落ちる確率を、宝くじなど色々な確率と比べた記事も参考にしてください。

2.エラーを防ぐ技術の向上

ヒューマンエラーを防ぐための対策もされています。

例えば、JALでは指示系統の混乱が危険を生む要因であることを踏まえ、機長の交代時には必ず「You Have Control」「I Have Control」という声かけをするようになりました。

 
他にも、整備員が機具を機内に忘れて事故が起きる…という事が起こらないように、必ず整備器具をもとの位置に戻すように義務付けられています。

これによって、足りない機具があれば一発でわかるので、整備機具の置き忘れによる事故も撲滅することができるようになりました。
 

もちろんシステム面も日々改善され続けていますが、飛行機事故自体の件数が1970年から減少傾向にあるのは、こういった小さな努力の積み重ねがあります。

「以前こんな事故が起きたから怖いなぁ…」と考えるよりも、「昔こんな事故が起きたからこそ、同じような事故は起きにくくなっている」と考えてみてください。

少しは気が楽になりませんか?

墜落の可能性が高い「魔の11分」は改善されつつある

飛行機の墜落事故の中でも、離着陸時の事故率が高いのは事実です。しかしその時間帯の事故も含め、飛行機事故が減少傾向にあるのも事実です。

魔の11分への備えをしたら、飛行機の安全な航行に携わる多くの人たちがいること、事故への対策が進んでいることを思い出し、大きく構えて空の旅を乗りきりましょう。

何より、魔の11分を超えて安定飛行に入れば事故率は一気に下がるので、長時間フライトでも11分だけ身構えれば良いと思えばスコでも気楽になりますよね。